ライオンの島でアフタヌーンティーをのむ。

6週間のスリランカ滞在記。

女の子

滞在3日目の朝はアイセックメンバーの母親が務める学校へお邪魔させてもらっていました。

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とても広い土地に校舎がいくつか建っており、ここで小中高校生の女の子たちが学んでいます。

(別にスリランカでは男女別学が主流、というほどでもないそうです。)

 

ここでは日本語の授業があるので、そこにお邪魔させてもらい高校1,2年生の女の子たちとお話ししたり、時間に関する文言の練習も兼ねて「門限何時なの?」などお互いのJK事情(笑)について語っていました。

ちなみに彼女たちは毎朝4時半に起きて、友達と遊ぶ時は午後1時までに帰るらしいです。

(それを聞いて思わず「え、夜中の1時?」と聞いてしまいました。遊んでいてごめんなさい。)

遠く離れた国の人が日本語を学んでいたり日本文化を好んでもらっているのは嬉しくなりますね。

 

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(スリランカの先生はみんな民族服のサリーを着用します。様々な文化が流入する中で”伝統”を確認するためにサリーを着るのもこの国の特徴です。)

お昼休みは30分しかなく中でご飯を食べるだけみたいなのですが

しばらくして音楽が鳴り始めた途端、校舎の中にいた女の子たちが一目散に駆け出し校庭の葉などを拾い始めました。

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本当にすごい勢いで拾うので圧倒されます。

聞いてみると彼女たちは朝と午後に校舎を掃除し、昼休みには音楽を合図に校庭を綺麗にするそうです。

たしかによく考えてみれば校舎が街の建物に比べるとすごく綺麗に保たれています。

 

ジュースやお菓子など職員の部屋でもてなして頂いたあと、小学校1年生のクラスで歌を披露してもらい小学校を後にしました。

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かわいい。すごくかわいい。

 

写真をよく見ると、実は年齢層によって髪の長さが違うのがわかるでしょうか。

これは単純な学校の規則ではなく、スリランカの女性観とも関係があります。

 

スリランカでは女性の性は保護されるべきものと考えており、その代表的な例として成女式があります。

初潮を迎えた女の子が数日間男から隔離されその儀式を迎え、短かった髪も長く伸ばすようになったり、友だちとして男の子と一対一でも遊んでいたのが年上の女の人達と一緒に遊ぶようになったりと、「女の子」から「女性」として完全に生まれ変わるのです。

 

また彼女たちの純潔は婚姻まで保つものとなっています。

結婚式は披露宴のようなものと実際に嫁入りするものの2種類を行うそうで、前者ではきらびやかなサリーを着用しますが、後者では花嫁の純潔を表明する真っ白なサリーを着ます。

そして花婿と初夜を過ごした次の日は真っ赤なサリーを着ることで純潔でなくなったことを表すそうです。

 

このこと自体は日本で調べた時に古い文献で知ったので今でもそうなのか聞いてみたところ

現在は世代も変わってきているのですべての人がとは言い切れないものの、まだまだ継承されている伝統ではあるそうです。

 

こうして女性は守られるべきものとされる一方で、「穢れ」としても扱われます。

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(寺の入り口にあった看板。生理中の女性は立ち入り禁止との記載が。)

 

生理中の女性は労われる一方で、純潔でなくなるかもしれない不安定なものとして扱われます。

そのような理由で聖職者との接触や聖域への立ち入りを禁止されるのです。

 

このようなこともあってスリランカでは社会的に女性は飲酒・喫煙をすることができず、ビーチに行ってもビキニを着ている人など全く見かけません。

しかしこういったものごとの背景には「男女差別」や「古典的」の一言では済まされない、彼らにとって大事な価値観があることがうかがえます。

 

スリランカの宗教

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スリランカは国民の約7割が仏教徒であり、残りが大体1割ずつヒンドゥー教、イスラム教キリスト教になります。

北海道くらいのサイズしかないこの小さな国ですが、そんなところに世界四大宗教が集結しているのです。

実際スリランカに行ってわかったこととして、街ではショーケースのようなものに入れられた聖像や仏像をよく目にします。

しかしよく見てみると

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奥に小さくマリア像があるのが見えますが、この交差点の向かいに

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この仏像が平然と建てられています。

 

例えば他にも、冒頭に載せたクルネーガラの仏像を登った時のことを話すと

山に登って街を一望している時、仏教徒のお経がどこかから聞こえてました。

しかしそれが止んだ十数分後、今度は別のモスクから祈祷の声が聞こえてきました。

この町では仏教の寺もタミル人(ヒンドゥー教徒)の寺もイスラム教のモスクもあり

毎日、仏教徒イスラム教徒両方の声を聞くことになるそうです。

 

スリランカが他の多文化主義国と違って面白いのは、このようにそれぞれが地域を棲み分け別個に存在するのではなく微妙に融合しながら共生していることです。

(ただスリランカではかつてイギリス領から独立する際、ナショナリズム(≒対キリスト)の加速化で仏教徒が殺害を起した歴史もたしかにあります。)

 

さて、私を泊めてくれたアイセックメンバーは仏教徒だったので

ここからは仏教の話になるのですが

 スリランカ仏教徒は満月の日を「(フルムーン・)ポーヤ・デイ」と呼び

この日は祝日となって役所や銀行までも閉めて1日身体を休め

そして夜になると白い服を着て、白い花を持ってお寺に行きます。

スリランカ滞在2日目はたまたまこのポーヤ・デイだったので私もお寺に連れて行ってもらい、裸足になって一緒に参拝しに行きました。

(ここでは仏教の聖地では裸足にならないといけません。)

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(左はアイセックメンバーのラビンドゥです。奥の光っているところに小さな仏像があり、花を添えてます。)

 

白い服を着て、籠いっぱいの白い花を持って

白く塗られた綺麗な寺をのぼり

誰かが唱えるお経の声と、鐘の音だけが聞こえる中

ある者は両手を合わせ、ある者はひざまずき地面に頭をつけて

お年寄りから小さな子まで、ただ自身の信じる存在にその信仰を体現する。

空には満月がのぼっていて、線香から薫る花の香りがあたりを包んでいる。

 

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(左はラビンドゥの従妹。この階段は大きな仏像に続いてます。)

その様子を見ていて純粋に綺麗だなと素直に感じました。

ほんとはもっと言うべきことあるんだと思うんですけど(笑)、

何かをひたむきに信じる姿はその対象関係なく美しいと思うし

一方でその根底にある死への恐怖という存在は人間の脆さとはかなさを感じさせる。

そして同じ恐怖心を持つ存在として若干の羨望もあったりします。

(じゃあ何かしろよ、といえばそれまでですが)

 

スリランカの宗教について話した時「あぁ日本みたいだね」とも言われましたが、今は全然違うと思います。

お互い寛容である部分は一致している一方で

自身が信仰する宗教の生活そして考え方への関わり方は全く異なると言っていいでしょう。

自身の神または仏を強く信じると同時に、違う神または仏を強く信じることを認めるのがスリランカだと思います。

  

スリランカの宗教についてはたくさんおもしろいことがあるのでまた書きます!

 

スパイスと砂糖と、(後編)

スリランカは言わずもがなセイロンティーで有名な国であり

アフタヌーンティーに限らず紅茶をよく飲みます。

起き抜けに一杯、午後に一杯、お客さんが来たら一杯、といった具合に。

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ミルクを入れたり、ジンジャーを入れたり飲み方は様々ですが

共通しているのが砂糖がたっぷり入っていること。

初めて家を訪れた時紅茶に何を入れるか聞かれたので「ミルクだけでいいよ」と答えたら

「え、マジで?砂糖いれないの?」と聞かれたくらいです。

(以来「ジャパニーズは辛いもの食べられないけど苦い飲み物は飲めるよ!」と謎の主張を彼にしています。)

ちなみにコーヒーも1回もらいましたが、それにも砂糖がたっぷり入ってました。

 

別にスリランカに限ったことではないと思いますが

この国は辛いものは辛すぎるくらい辛いし、甘いものは甘すぎるくらい甘い。

じゃあ日本のがいいのかと聞かれれば、そうとは言い切れない。

というのもこの熱帯地域では辛いカレーが、甘いミルクティーが暑さでバテた身体にちょうどいいのです。

といったことを日本で観たTED x Kyotoの動画を思い出しながら考えてました。


Reasons for religion -- a quest for inner peace | Daiko Matsuyama | TEDxKyoto

(現役の僧侶である松山大耕師が日本人の宗教観についてプレゼンしています。)

この方はインドの気候と日本の気候をそれぞれ再現した部屋で同じ参加者にインドカレーと日本のカレー両方を食べてもらい

インドの気候ではインドのカレーが、日本の気候では日本のカレーが好まれることを証明したそうです。

 

食や生活様式にはどちらが進んでいる、遅れているというものもなく、国の気候や風土など諸条件にあったものが最終的に残っているのだと思います。

スリランカ含め南インドの人がカレーを手で食べることに対して「行儀悪い」あるいは「文化の違いだなぁ」といった感覚があるかもしれませんが

文化どうこう言うまでもなく、(日本と違って)水分が少ない米を(日本と違って)さらさらしたカレーと混ぜて食べるには手の方が楽で、むしろスプーンを使う方が食べづらさを感じます。

スリランカはシャワーが水しか出ない」と言われると「え、そこまで進んでないのか」という印象を抱きますが

(もちろん技術的側面はあるものの)こんな暑い国ではそもそもお湯のシャワーを浴びる必要がないのです。

考えてみれば当然のことですが、この国に来るまでは気づくことがありませんでした。

 

現在は日本に居ても異文化を知られるさまざまな情報媒体や機会があります。

しかしそこから情報を得ているだけでは私たちはあくまで異文化を“知った”だけでしかなく

実際に現地の人と同じ条件で、同じ目線で体感してみるまで“理解”することは難しいのだと思います。

だから海外に出て現地で生活してみることは大切と言われるのかもしれません。

 

私を泊めてくれたアイセックメンバーは

「これがアイセックのやりたいCross Cultural Understandingだよね」とある時言いました。

アイセックが"海外"インターンシップにこだわる理由はそこにもあるのだと思います。

 

スパイスと砂糖と、(前編)

日本にいる時、スリランカについて聞かれたことで一番多かったのは

スリランカの料理ってどんなの?」というものです。

 たしかにスリランカ料理って何も想像つかないですよね。

せいぜいインド料理と似てるのかな?というくらい。

 

私が初めてスリランカ料理を食べたのは、アイセックメンバーの家に招かれた1日目の昼でした。

それがこちら。

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(上が魚の揚げ物、左が野菜のカレー、右上がチキンのカレー、パキスタンのお米)

「いや、米の割合高すぎん(笑)」

って内心突っ込まれた方もいるかもしれませんが、これがちょうどいいんです。

一般的にスリランカでは魚やチキン、野菜などをスパイスと一緒に煮込んだものを複数種類作り

一つの皿によそい、主食と一緒に手で混ぜて食べます。

まぁ要するにカレーなのですが、これが結構辛い。だからごはん多めになります。

味については、辛いもの好きな私にとっては暑さでバテた身体に効いて美味しかったです。

とはいってもそう感じられるのは日本人としてだいぶ気を使ってもらっているからであり、

日本人的に辛いもの好きな私が「辛いな~」と思って食べていても、彼らにとっては全然辛くないみたいだし

聞いてみたら1歳半の子どもでも同じカレーを食べるし、ペットの犬もそのカレーを食べるそうです。

(ここまでくると犬にも異文化理解が必要かもしれないです。)

 

これが初めてのスリランカ料理との出会いだったのですが朝ごはんとかはどうなのかというと

別のアイセックメンバーの家で食べた、一般的なスリランカの朝ごはんがこちら。 

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(右上がチキンのカレー、左上が唐辛子をオイルに漬けたようなもの(もちろん辛い)、左下が玉ねぎと唐辛子をオイルで炒ったようなもの(激辛)、ココナッツミルクと炊いたミルクライス(実は甘くない))

 「いや、一緒やん(笑)」

そう大体一緒です。主食がココナッツミルクと一緒に炊いたミルクライスになっているのがちょっと違う点。朝からなかなか胃に刺激的なものを与えていると思います。

 

スリランカの家庭では大体こんな感じの料理を朝昼晩食べています。

(写真はないのですが夜ご飯はインド料理、つまりカレーでした。)

味は本当においしいですよ。私は結構好きです。

一方で飽きないのかなぁとも思ったりもしますが、カレーや主食は食事毎に違うのが出てくるし

恐らく日本人の舌がスパイス料理に慣れていないから同じように感じるだけで

彼らにとっては毎回全然違うものを食べているんですよね、きっと。

 

とここまで書いたところでそこそこの長さになったので、後半に続きます。

もっと言いたいことがあるのですが、これはこれでグルメレポとしてどうぞ!

 

 

スリランカ滞在記はじめてみます。

 

「ライオンの島でアフタヌーンティーを飲む」

 

このタイトルでどのような光景をイメージしましたか?

ジャングルの中でお茶会を開いているのか、ライオンに囲まれながら紅茶を飲んでいるのか。

いずれにせよ、ライオンとアフタヌーンティーのイメージがかけ離れすぎてイメージしにくいと思います。

でもそれが南アジアの小さな国でありながら英国文化の影響も強く受けている国、スリランカです。

(ライオンの島というのは誕生の逸話からとったので、もちろんそこら中にいるわけではないですよ笑)

 

この春休み、アイセックの海外インターンシップスリランカへ6週間来ているので

一大学生としてスリランカで見たもの、考えたことを発信していこうと思い立ちました。

スリランカってどんなところ?」

スリランカで何しているの?」

という方に読んでもらえたらと思います。

 

 

あなたの中にあるスリランカに対するイメージを、少しでも彩れたらとても光栄です。